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日経もあなどれない

 日本経済新聞もあなどれない。いや、別に日経もみなと図書館もあなどっていないが、言葉のアヤだ。今日の朝刊裏面が「澁澤龍彦没後20年」、夕刊は久生十蘭「母子像」。

 澁澤龍彦の記事は美術評論の側面を主に取り上げ、若仲の関連で『思考の紋章学』が紹介されている。この本は河出文庫で長く品切れだったが、最近再版された。カバーが旧版よりダサくなったが、中身は素晴らしい本なので是非入手をお勧めする。永井荷風の『断腸亭日乗』について、日付に付された黒点が何らかのエロの符号であることの指摘から始まる「ウィタ・セクスアリス」など、警抜な文芸評論が並んでいる。僕は澁澤龍彦のあまり熱心な読者ではないが、『思考の紋章学』と小説『高丘親王航海記』はとても好きだ。

 「母子像」は特に好きな作品ではないが、久生十蘭では「湖畔」と「奥の海」の両短編をよく読み返す。
 「奥の海」は「京都所司代、御式方頭取、阪田出雲の下役に堀金十郎という渡り祐筆がいた」という出だしで始まるのだが、狙いすましたように「金十郎は人生のオリジナルな問題に触れることを避け、人間の愛憎のかからぬところで、自分一人で暮らしていたが、その罰で、善悪も、ときには深く人を傷つけることがあるという、簡単な愛の論理すらわからないようになってしまった」などという英語混じりの痺れる一文が、磨かれた文体の中でユーモアと冷徹の境に光っている。

 「湖畔」も「奥の海」も、簡単に言えば間抜けな男の物語。女の感情や現実のダイナミズムについて、過去からの静止した一点でしか理解できない。目の前の現実には醒めているくせに、過去を無限に豊穣なものとして見る。いや、すでに今という時間は過ぎ去ったのに、いつまでもそれを現在として扱おうとしているのか。

 関係ないけど夕方の一面はトランス脂肪酸について。日本でも関心が高まるかと期待。
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